島田荘司『夏、19歳の肖像 新装版』
- 作者: 島田荘司
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/05/10
- メディア: 文庫
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1985年に刊行され、後の『異邦の騎士』にも繋がる島田荘司の青春小説の名作として語られる作品が大幅に改稿されて新装版となった。もちろんかつて読んでいるのだが、もうすっかり忘れているのでこれはこれで楽しめた。ただ、青春小説として現代でも素晴らしいかというと、ちょっと厳しい。これは今の目で見れば「ストーカー小説」だよね。その後の展開もちょっとご都合主義的で、いくらなんでもこんなに上手くいかないだろう、と思う。それでも最後まで読ませるのは、冒頭の「謎」を最後まで引っ張っているからだ。冒頭に魅力的な謎を、という島田ミステリー理論が、こんな小説でもきちんと実践されているのは、徹底していると言うべきか。