愛川晶『六月六日生まれの天使』
- 作者: 愛川晶
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/05/27
- メディア: 単行本
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記憶を失った女性の「自分捜し」ミステリ。冒頭が何が何だか分からない状況なので、どういうことなのだ! と読む手がもう止まらなくなる。過去のシーンや、誰かが書いた別の文章がカットバックで割り込まれるので、ああ叙述トリック系だな、と予想は付くし、「仮面の男」の状況が読めた時点で事件の真相もちょっと読めてしまった。もっとも予想よりはさらに一枚上を行っていたので、充分驚かされたのだが。ただし、「純愛ミステリー」と言うほど、恋愛小説の要素は強くないように感じた。また、カッコで閉じられた独白が非常に多いのも読んでいて少し気になった。