明川哲也・文/児嶋サコ・絵『ぼく、あいにきたよ』

いつも本を送って下さっている文春のIさんから「こんなのも作っています」といただきました。ありがとうございますありがとうございます。

ぼく、あいにきたよ

ぼく、あいにきたよ

絵本です。表紙こそ和み系だが、実はとても重たい内容で「幼児虐待されている子」の物語。和やかな絵と苦しんでいる場面の絵のギャップの大きさに戸惑い、そして主人公の苦しみが読者に重くのしかかる。

おじさんが ぼくをけった。
おじさんが ぼくをぶった。
なんども なんども ぼくをぶった。


おかあさん、たすけて。
おかあさん、そこにいるの?
どうして しらんぷりを しているの。
おかあさんは ぼくが きらいなの?

そして、絵本の常識を覆す展開。涙が溢れるラスト。忘れられない物語だ。


聞き慣れない作者「明川哲也」は、実は、元・叫ぶ詩人の会ドリアン助川である。実際に朗読会の場で朗読されたことがあり、その時はあまりの内容に会場が静まり返り、あちこちですすり泣きが起こったそうだ。この絵本から得なければならないものは、あまりにも大きい。