米澤穂信『クドリャフカの順番』
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/07
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 126回
- この商品を含むブログ (262件) を見る
スニーカー文庫から続いた「古典部」シリーズ第三作がソフトカバー本として刊行(なお過去2作は角川文庫として再刊された)。米澤穂信の手にかかると、どうしてこんなにも少年少女たちが活き活きと描かれるのだろう。今回は4人の視点が入れ替わりで描かれるが、それぞれの描き分けも素晴らしい(とりわけ、千反田える視点の文章は実にユニークだ)。文化祭はみんながみんなポジティブな気持ちで参加するものではないことも、例えば摩耶花視点の部分がよく表している。事件はミッシングリング(リンク?)もので、その真相、特に動機設定が素晴らしい。こうしたくなる心境は、私もとてもよく判る。ただ爽やかなだけでなく、ちょっとだけ苦い要素を残すのが米澤作品の特徴だが、本作もまさにそんな感じの小説だ。なお作品内容とは直接関係ないが、本作の表紙は本当に素晴らしい。