フライ,ダディ,フライ


鈴木一(堤真一)は玩具メーカーのサラリーマン。次期部長昇進も有力視されている。妻(愛華みれ)と一人娘・遥(星井七瀬)との三人で幸せな生活を送っている……はずだった、遥が大怪我を負って入院するまでは。友達とカラオケに行き、ちょっかいを出された石原(須藤元気)にやられたらしい。石原は有名進学校にいてボクシングでインターハイ連覇中の男。しかも父は総理大臣候補の議員。金と権力を使って、事件を揉み消しにかかったのだ。遥はショックで父に口もきいてくれなくなった。怒りに燃えた鈴木は、包丁を持って学校に殴りこみにやってきた。が、そこに石原はいなかった。学校を間違えたのだ。鈴木は朴舜臣(岡田准一)ら、オチコボレ学校の「ザ・ゾンビーズ」たちから提案を受けた。夏休みに体力トレーニングをして、石原と素手で対決しないかと。「大切なものを守りたいんだろう? おっさん」――こうして舜臣による地獄の特訓が始まった。
金城一紀の原作・脚本による、「おじさんの青春映画」。プロットは実に単純だが、要所要所できちんと盛り上げ、感動も出来て、最後はスカッとする。鈴木さんの顔つきや身体までどんどん変化しているようにも見える。遥の病室に山下が宙吊りで事情説明するシーンと、バスとの競争シーンが特に良かった。個人的にはザ・ゾンビーズの舜臣以外のメンバーをもっとクローズアップして欲しかったなあ。特に山下ね。
舜臣=岡田准一は私のイメージとは少し違うのだが(もっといかつい男をイメージしていた)、熱演はしている。三代目なっちゃんだった星井七瀬は可愛いが、演技は下手だね。堤真一は「京極堂」よりは「鈴木さん」の方がぴったりでしょう。