飛鳥部勝則『鏡陥穽』
- 作者: 飛鳥部勝則
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/07/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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飛鳥部勝則、初の本格ホラー。殺したはずの男が生きている、という奇妙な状況は、折原一の長編にありそうなパターンで、そんな叙述トリック系かな、と思っていたら、話がどんどん妙な方向に進んでいく。まだ第二部の段階では(ホラーな要素があるものの)それなりに納得出来る展開になっていたのだが、後半、特に第四部はもう訳が判らない。鏡の向こうに映っている自分が勝手に動き出す、というネタは誰でも思いつきそうだが、ここまでエスカレートすると、もうどうにでもなれ、とまで思ってしまうほどだ。あー気持ち悪い。口絵の稲垣考二(今回は飛鳥部氏本人の絵ではない)の絵の奇妙さ、気持ち悪さも効果を上げている。