リリー・フランキー『東京タワー』
![東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~ 東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/319XpFy2tuL._SL160_.jpg)
- 作者: リリー・フランキー
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2005/06/28
- メディア: 単行本
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「ボク」と「オカン」と「オトン」の物語。「ボク」は著者自身だから、自伝的小説である。こんな物語を読んで、泣けない人なんていないだろう。読みながら、自分の母親とか、父親とか、故郷のことを思うはずだ。
確かに素晴らしい作品だ。が、先に「ずるい」と書いたのは、誰もが親や肉親にまつわる話は書けるはずだからだ。長編の1つや2つくらい書けるだけのプロットがあるだろう。私にもある。不遜なことを言うようだが、多分私が自分の両親のことを綴っても、みんなを泣かせるくらいの物語が書ける自信がある。リリー・フランキーのような文才が自分にないのが悔しい。
例えばビートたけしの『たけしくん、ハイ!』や、島田洋七の『佐賀のがばいばあちゃん』もそうだが、普段こんな真面目な話を書かない人が書くから、「振り幅」が大きい分感動も大きい、というのもあると思う。
小説のレトリックではなく、エッセイ風に書かれているのも新鮮だった。いや実際エッセイなのかも知れないが。あのイラストが挿入される場面も「ずるい」なあ。泣くに決まってるじゃん。
来年の「本屋大賞」に今最も近い、と言われる作品である。