図版を大胆に挿入させた実験小説集と、「e-NOVELS」にて販売されている掌編小説集とで構成。前半の実験小説は、見た目は派手なものの、「えっと、それで結局なんなんでしょうか?」と中途半端な印象しか残らない作品が多く、個人的にはピンと来なかった。いや、読者を巻き込む「カヴス・カヴス」(ネタはバレバレだが)と、インチキ商法を痛烈に皮肉った「壺売り玄蔵」は面白かった。後半の掌編小説集は、素晴らしいの一語に尽きる。これだけでも読む価値は絶対にある。妙な味わいの
ショートショートばかりだが、どれも落しどころが巧くて感心させられる。とりわけ、「
箴言」の最初の一文には感動と爆笑だ。
これはあまり知られていない話であるが、かつてギリシャの哲学者プラトンがお忍びで新宿の下落合へ遊びに来たことがある。