東野圭吾『容疑者Xの献身』
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/08/25
- メディア: 単行本
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という事件を捜査する側にいるのが、天才物理学者の湯川学。そう、これは『探偵ガリレオ』『予知夢』と続いたシリーズものであり、初の長編なのだ。しかも相手は湯川の同級生で最大のライバル、石神。天才同士の頭脳戦は、刑事コロンボ(や、古畑任三郎)のような倒叙ものとして描かれるのだが、そう簡単に進むわけがないのが東野圭吾の小説である。後半の意外な展開、そして予想外の解決、そこに隠された驚愕のトリックと動機。泡坂妻夫の某短編を連想したが、もちろんそちらとは使い方もスケールも異なる。そして真相を知った時、この小説が優れたミステリであると同時に恋愛小説でもあることに気付かれるのだ(最初はただのストーカーだと思ったけれど)。東野圭吾のミステリの到達点と言えるだろう。今年を代表する傑作であることも疑いない。