蘇部健一『六とん2』

六とん〈2〉 (講談社ノベルス)

六とん〈2〉 (講談社ノベルス)

いや、私は前作『六枚のとんかつ』は結構好きなのだ。表題作のトリックなど、見るべきところもたくさんあるし。しかし、「パワーアップ」はしていないだろう、これは。全編を通してユルユルでダラダラな作品世界。まあよくも一冊に纏め上げたものだと思う。なんというか、「読んだ」ということがネタになって来ている気がする。最後の二つ「叶わぬ思い」と「きみがくれたメロディ」はそれなりに読ませるものの、前者はラストに捻りがなさ過ぎるし、後者はほとんど韓国映画イルマーレ」と同じストーリーな上にまたもラストがストレート過ぎ(そういえばいつぞやのMYSCONで「イルマーレ」と「リメンバー・ミー」を絶賛されていた)。著者自ら「六とん」と略称にしているのもどうかと思う。困った困った。