「私にも妻がいたらいいのに」(2000年韓国作品）

私にも妻がいたらいいのに [DVD]

銀行員のキム・ボンス（ソル・ギョング）は長らく恋人もおらず、平凡な毎日を過ごしている。載っていた地下鉄が停電になった時、自分以外の乗客の誰もが携帯で連絡を取り合っているのを見て、自分に連絡する相手がいないことがショックだった。そんな彼を、銀行の向かいにある学習塾で講師をしているチョン・ウォンジュ（チョン・ドヨン）が密かに想いを寄せているが、ボンスは全く気付いていない。交通事故に遭って入院したボンスは、病院で学生時代の友人テラン（チン・ヒギョン）に出会い、付き合い始める。そんなことも知らず銀行に足繁く通うウォンジュだったが、預金する振りをして申し込んだデートを断られてショックを受ける。テランと付き合ってすっかり浮かれ気分のボンスはプロポーズしようと彼女の店に行くが、経営不振で店は畳んでおり、彼女の行方も知れなかった。絶望にくれる中、残業中に見た銀行の監視カメラの映像で、カメラに向かって何かを話しているウォンジュの姿に釘付けになった……。

「ペパーミント・キャンディー」「オアシス」「シルミド」のソル・ギョングと、「我が心のオルガン」「ハッピーエンド」「スキャンダル」のチョン・ドヨン。韓国映画界を代表する演技派俳優がタッグを組んで出来上がったのは意外にも、ごくごく平凡な日常を舞台にした、ちょっと不器用な大人の恋愛模様だった。結婚願望があるし会社でも信頼されているのに、どこか頼りない男と、自分の魅力に気付かないまま小さな幸せをかみ締めながら生活する女。大きな事件も起伏もないのに感動的なのは、演じているのがこの二人だからに他ならない。あまりにも「何もない」ので退屈に感じる部分もあるし、感想を見るとそんな意見も多いのだが、ジェットコースターのような展開のドラマに疲れたら、たまにはこういうのもいいだろうに。監督は「八月のクリスマス」の助監督だった人だそうで、淡々とした部分がホ・ジノ譲りなのかも知れない。
二人の演技力については申し分なしだが、チョン・ドヨンの癒し系な姿がいい。ちょっと前に「我が心のオルガン」の前半だけを（「GyaO」でやっていたので）観たが、あの「大人なのに小学生」をやった人と同一人物なのが信じられない。おでこ全開のルックスと、眼鏡を外した顔が可愛すぎ。反則です。