P・G・ウッドハウス『ジーヴズの事件簿』

和むねー。
英国を代表する作家でありながら、日本ではほとんど忘れ去られた存在だったウッドハウスが、今年になって文春と国書刊行会から立て続けに刊行された。その記念すべき第一弾。ご主人バーティ・ウースターと敬虔ながらも機転の利く執事ジーヴズのコンビは、シュールな漫才コンビを見ているようだ。すげえ笑えるわけでもないが、時には本当に可笑しく、時にはしょーもないやり取りにニンマリしてしまう。バーティが直面する数多くの難問(といっても、誰かと結婚させられそうになるとか、町の運動会で賭けをしたら負けそうになるとか、大したレベルではないのだが)をジーヴズが見事に解決する、というよりは、初めから全部知ってて根回ししてました的な話が多くて、「家政婦は見ていた」よりもしたたかで、ミステリ的にはアンフェアじゃん。それでもなんか許せてしまうのは、この緩い雰囲気が全てを納得させてしまっているからだろう。冬にこたつでみかん食べながら読むのが丁度いいかも。