奥田英朗『ララピポ』

ララピポ

ララピポ

フリーライターが、AVスカウトマンが、ゴミ屋敷に住む主婦が……様々な人々が「エロ」をきっかけに堕ちて行く過程を描いた連作短篇集。作品の繋がり方が巧妙で、登場人物たちが連鎖していく構造だ。ある意味みんな不幸になっていくので、言わば「明るい『最悪』」みたいなものか。エロ描写も面白いが、やや変化に乏しいかな。ま、奥田英朗に「フランス書院」並みのレベルを要求するわけにもいかないだろうが。物語の転がり方、展開の面白さはさすが。渋谷のカラオケボックス店員が思う「もはやこの界隈にまともな人間は一人もいないように思えた」という文章や、官能小説家による「ヴィヴァ人生」のフレーズが笑える。「ララピポ」という意味不明なタイトルの意味は最後の短編で判明する。