「ヘリテロ」ムーブメントがもたらしたもの

そらけいさん(id:helioterrorism)編集の同人誌「ヘリオテロリズムVol.3」を読んだ。本来なら全作品にコメントを付ける形で感想を書くべきなのだが、全てにはコメントし難いので止めておきたい。(少しだけ書いておくと、物語性とリーダビリティーが最も高く素直に楽しめたのは近田鳶迩「リテイク」(id:enji)で、設定のセンスが素晴らしいのは素晴城路安「ピギイ・オルタナティヴ2047[次々と豚]」(id:hey11pop)だった。松本楽志「セピアブルー過去発掘場第三ゲート」(id:gakusi)に、私によく似た名前のカリスマ書店員が登場するが、名前が似ているだけで、この人物の設定は私とは無関係だ)
残念ながら今回で「ヘリテロ」は終了らしい。が、この同人誌が残したものは決して小さくなかったと思う。その最大のものは、今まで創作とは無関係だったミステリサイト管理人が何人か参加し、創作への志が上がったことだ。プロに近い人も参加しており、それらも含めてみんなに刺激になったことだろう。「ヘリテロ」の前にも未成年くん(id:LOVE800)が「音楽会の夕べ」「もえかん」と同人誌を作り、そこでも何人かが創作したが、どちらかといえば内輪受けに近いものが多かった。もちろん「もえかん」などのステップがあってこその「ヘリテロ」のレベルアップがあったのも間違いない。まだプロ作家の作品と同列には語れない作品も多いが、かなり近づいている。みんな頑張って欲しい。
もう一つ挙げたいのは、「回廊」への影響力だ。秋山真琴くん(id:sinden)の「回廊」は「ヘリテロ」以前からあったが、「ヘリテロ」以前と以降では、モチベーションも注目度も作品レベルも確実に向上したと思われる。秋山くんに「ヘリテロに追い越された」という焦りが当時少なからずあったのではないかと実は想像しているのだがどうだろうか。