鳥飼否宇『激走 福岡国際マラソン 42.195キロの謎』
激走 福岡国際マラソン―42.195キロの謎 (小学館ミステリー21)
- 作者: 鳥飼否宇
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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マラソンとのタイアップ企画ではなかろうか、と思えるほど直接的なタイトルに引いてしまう。しかも著者は日本のバカミス界期待の星・鳥飼否宇だというのもなんとも不思議で、一体どんな小説なのだ、と興味本位で読んでみた。元々は小学館のサイトおよび携帯サイトで連載されていたそうだ。マラソンのスタートからゴールまでを時系列で追いながら、そこに渦巻く複雑な思惑と、事件の経過が同時進行で描かれる。だから読む側も、実際のマラソンを見ているような雰囲気に浸れる。途中に発生する殺人(マラソンランナーが競技中に死ぬのだ)のトリックに鳥飼らしさがあるのと、ラストの「驚き」も鳥飼らしい部分が感じられる(とりわけ後者のはバカミスっぽい)。ただし、いかにも携帯サイトの連載らしい軽さが全体的に感じられるのも事実。読み終わると、鳥飼否宇という人選の不思議さと、何故鳥飼がこの仕事を引き受けたのかが「大いなる謎」として残ってしまう。