水田美意子『殺人ピエロの孤島同窓会』

殺人ピエロの孤島同窓会

殺人ピエロの孤島同窓会

日本列島から遠く離れた東硫黄島は、かつてはスーパーや遊戯施設があって賑わいを見せていたが、数年前の火山噴火によって島民は全員東京に移住した。ここで高校の同窓会が行われることになり、4年ぶりに島に戻ってきた男女たちの前で、殺人ピエロの大量殺戮が繰り広げられる。犯人は虐めで不登校だった男・野比なのか? それとも――。
何よりも「執筆当時12歳」の話題性ばかりが先行した、第4回このミス大賞・特別奨励賞の作品。基本設定も文章もストーリーも荒唐無稽で無茶だらけなので、白けるかと思いきや、最後まで引っ張る力はそれなりにあるので不思議といえば不思議。殺人トトや日本軍の埋蔵金ネタまで、とりあえず知ってる話を全部ぶっこんでみました、てな雰囲気も感じられる。でもやっぱり、あらゆる部分で詰めが甘く、普通なら出版されないのは間違いないだろう。これに較べれば、まだ矢野龍王の方がまともに見える。まあ年齢のハンデはあるから、大目に見るけれど。世に出した以上、宝島社はきちんとフォローする責任があるはずだ。将来が楽しみなような不安なような。なんせ10年書き続けてもまだ23歳なのだから。