鯨統一郎『KAIKETSU! 赤頭巾侍』

KAIKETSU!赤頭巾侍

KAIKETSU!赤頭巾侍

久留里一太郎は寺で坊主をやっているが、実は親の仇を探している。そんな一太郎の周りで事件が起き、正義感と「その下手人こそ親の仇かも知れない」という思い込みから、赤い頭巾で顔を隠す「赤頭巾侍」となって下手人を斬る。だがその直後、その人物は下手人ではないと同心から知らされ、焦りまくる赤頭巾侍。咄嗟の思いつきで、自分が斬った人物を下手人にするため、こじつけ推理を炸裂させるのだった……。
と、いう展開が8回ある連作短篇集です。
一太郎の思い込みというよりは、瓦版屋をやっている勘太の思い込み推理を鵜呑みにしてるだけなのだが……。とはいうものの、実は一太郎のこじつけ推理が正解だったりする場合もあるようだ(ほとんどの短編では真相が明かされないまま、うやむやに終わっているので、全て正解かどうかもはっきりしない)。そしてどの短編もラストが、寺子屋で子供達にトリビア知識を披露して「へえ」「へえ」となる場面で終わっているのも意味不明。やっぱり全てがゆるゆるなのだ。トリック部分も緩いものばかりだが、「密室の狼」がバカバカし過ぎて逆に楽しかったかな。