井上夢人『ザ・チーム』
- 作者: 井上夢人
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/01
- メディア: 単行本
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と、いう話が、8回ある。
と、書いてしまうと鯨統一郎と同じ感想になってしまう。確かに上に書いた通りの話ばかり続く。しかしさすが井上夢人、それぞれの短編にちゃんと変化をつけて、飽きさせないようにしているのだ。能城あや子の霊視をインチキだとして秘密を暴こうとする週刊誌の編集者がいたり(結局は負けてしまうのだが、彼との勝負は一度では終わらないのだ)、能城あや子の過去を知る人物がやって来たり。それぞれの事件の真相も意外性がある。本来インチキであるはずの「事前調査」から現実の事件が明らかになっていくのだが、そっちの方が遥かに悪質なので、「事前調査」チームの方が親近感が沸いてくるのだ。全体的に派手さは感じないが、井上夢人の騙りの巧さに浸れる連作集である。