ジョン・ディクスン・カー『ヴードゥーの悪魔』
- 作者: ジョン・ディクスンカー,John Dickson Carr,村上和久
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2006/02
- メディア: 単行本
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すみません上の粗筋は本書にあるものをそのまま引用させていただきました。この粗筋以上に上手く纏められないので。それはともかく、全国のカー・ファンが待ち焦がれていた「最後の未訳長編」がついに翻訳出版された、それだけでも功労賞ものである。今まで訳されなかったのだから、よほどの駄作でファン以外には読むところがないかというと、意外なことにそうでもなく、怪奇趣味(ヴードゥーの呪い)や犯行予告、そしてぬけぬけとした殺人トリックなど、カーらしさが伺える作品だ。「意外な犯人像」も出してくるし、伏線も巧妙。ただし、それらも含め、著者による「好事家のためのノート」を読んで、ああなるほどカーはこういうことをやりたかったのか、とようやく気づかされる部分も多いのは辛い。解説されてやっと理解できる作品になってしまったか。退屈な場面も多いが、ニューオーリンズの風俗・時代描写は楽しめる。