太宰治「富嶽百景」

富嶽百景・走れメロス 他八篇 (岩波文庫)

富嶽百景・走れメロス 他八篇 (岩波文庫)


太宰 治 - 太宰 治:作 「富嶽百景」 - 太宰 治:作 「富嶽百景」

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iTMSで最近朗読作品が増えた。漱石などの名作群で、どれも朗読が巧いものばかりで興味がわいた。
ので、一つ買ってみた。太宰治の「富嶽百景」である。
高校の教科書で読んだものだが、高校時代は国語は嫌いだったので、あまり憶えていない。太宰が井伏鱒二と一緒に山登りをして富士山を見ようとしたが見えなくて井伏鱒二がつまらなそうに屁をこいた、という場面と、「富士には、月見草がよく似合う」のフレーズしか記憶に無かったのだ。
だが今回朗読を聴いて、実に面白い作品だと思った。見合いしてるんだね太宰って(ってそんなことも憶えてなかったという)。様々な場面で見る富士山とその印象(絵の場合もある)が、実にリアルに伝わる。あの『人間失格』の太宰の小説とは思えない。いや、小説ではなく、長文のコラムみたいなものか。今なら「サライ」とかに一挙掲載されそうな感じだ。
朗読がとても巧いので、引き込まれる。太宰治本人ではないかとまで錯覚してしまう。