米澤穂信『夏期限定トロピカルカフェ事件』

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

「小市民」を目指す小佐内ゆきと小鳩常悟朗、高校二年の夏。小佐内さん作成の〈小佐内スイーツセレクション・夏〉の完全制覇を目指してスイーツを買って食べる日々だったが……。
日常の謎系の２つの事件は前座的存在で、後半の大事件から物語は大きく動く。いよいよシリーズ全体に関わってくるであろう展開が見えてきた。まあしかし、小佐内さんがやることが回りくどすぎて驚く。別にスイーツセレクションなんてことしなくても直接話をすればすぐだろうに、と思ってしまうが、そうするとこのシリーズ自体を否定してしまうことになるし、魅力が激減してしまうので、これはこれでいいのだ。全11話の連ドラの、第9話あたりのラストを思わせるような結末を迎えて、以下次作を待て、なところ。早く書かないとファンがやきもきするよ。
ところで、この本の帯に隠れた部分に「ミステリ・フロンティア」の飛行船マークがあることに今日初めて気付いた。『春期限定』にも同じマークがある。知ってましたか？