角田光代・有川浩・日向蓬・三羽省吾・坂木司・桜庭一樹・森見登美彦『Sweet Blue Age』

Sweet Blue Age

Sweet Blue Age

野性時代」に掲載された連作アンソロジー
「青春小説」という注文に対して書くものは、大きく二つある。「現在の青春」を描くか、「昔の青春の回想」を描くかだ。青春なんてもう随分昔になってしまった私にとっては、やはり「回想」の方が共感度が高いと感じた。特に冒頭の角田光代「あの八月の、」は感動した。見せ方も実に巧い。日向蓬「涙の匂い」もずるいくらいだ。「現在」ものでは有川浩「クジラの敵」がいい。『海の底』を読んでいるから、なおのこと感情移入しやすい。桜庭一樹「辻斬りのように」は青春小説にしては異色に見えるものの、相変わらず内面描写が巧い。森見登美彦夜は短し歩けよ乙女」は雰囲気が独特。