黒田研二『カンニング少女』
- 作者: 黒田研二
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/04
- メディア: 単行本
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トリッキーでマニアックなミステリを書いてきた黒田研二だが、前作『結婚なんてしたくない』あたりから一般受けする作品へとシフトチェンジを図っているようで、本作はより一層、一般向けを意識した小説に仕上がっている。カンニングを中心にした学生たちと先生との対決をメインにしながら、「姉の死の謎」というミステリ的要素を絡め、どちらの部分でも読者を驚かせることに成功している。そしてラスト、そういう落とし方をするとは全く予想していなかったので激しく驚くと同時に、ちょっと感動してしまった。プロットが絶妙に決まった結末になっているのだ。カンニングの手口の一部に、五十嵐貴久『Fake』で使われていたネタに似ていたのは気になったが、アレンジが違うので些細な問題だろう。ただし、その結末に向かうのがやや性急な点が少し残念なところだ。
あと本筋とは無関係だが、高校の先生たちの名前の元ネタが、元・モーニング娘。メンバーだったことに思わず吹いてしまった。みんな「元」で現行メンバーの名前が使われていないところに、作者の(別の意味での)思いが込められているような気がした。ああ、もう本体はどうでもいいと思っているのですね、くろけんさん……。