桜庭一樹『少女七竈と七人の可愛そうな大人』
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
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既刊の青春小説アンソロジー『Sweet Blue Age』に収録されていた短編「辻斬りのように」が本書の冒頭に配されており、プロローグの役割を果たしている。つまり、7人の男と次々に寝た女教師・川村優奈が七竈の母親なのだ。この短編で象徴的に語られる花「七竈」がそのまま少女の名前になっているのである。青春小説でもあり恋愛小説のようなこの作品は、桜庭一樹の得意な世界「少女の繊細な心理描写」が今まで以上にクローズアップされていて、もうこの著者以外には書けない領域に達しているような気がする(少なくとも男性作家には絶対に書けない世界だろう)。女性読者なら共感する部分も多いかも知れない。今回、綺麗な描写や美しい文章に付箋を貼りながら読んでいたが、付箋がたくさん付いてしまった。ラストも美しい。ラノベ作家だから、と敬遠している人にこそ読んでいただきたい作品だ。