米澤穂信『ボトルネック』
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/08/30
- メディア: 単行本
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パラレルワールドを使った異色青春ミステリ。が、ただの能天気かつ楽天的な話にしないのが米澤穂信だ。前半こそ、「別の世界」に迷い込んだぼくの戸惑い振りを楽しく読めるし、違った世界で新たな可能性が広がりそうな展開をしてみせるが、最後には何とも言えない重さ・やり切れなさが襲ってくる。あまり具体的には書けないのだが、この読後感こそ米澤作品の真骨頂と言えるだろう。パラレルワールドの片方の世界での事件の謎をもう一方側にいる人が解く、という趣向も斬新で感心させられた。ミステリ的にも、SFとしても、青春小説としても出色の出来。個人的には、米澤穂信の現時点での最高傑作だと思う。