島田荘司『UFO大通り』

UFO大通り

UFO大通り

御手洗&石岡コンビが帰ってきた。殺人事件のあった家の2軒隣のお婆さんが、「前の通りにUFOが降りてきて宇宙人が戦争していた」とTVで証言していた。真実か、はたまた呆け症状の一種に過ぎないのか……の「UFO大通り」、ラジオの深夜放送でのリスナーの目撃談「大雨の中、女性が傘をわざと車に轢かせていた」から導き出される奇想天外な事件……の「傘を折る女」の中篇二作。
島田荘司の文章は基本的に「下手」だと思う。読み始めた時は、そういう箇所で何度も止まってしまう。が、作品世界に浸っていくにつれて、そんなことは忘れてしまい、純粋に物語を楽しんでいる自分がいるのだ。他の作家がやったら「ただのトンデモミステリ」と片付けられそうなアイデアなのに、何故か島田荘司なら許せるし、感心してしまう。表題作も、真相を知ると「なんだよ」と思ってしまいそうなのに、それをよくここまでユニークかつ読ませる話にしてるものだなあと感動する。「傘を折る女」は「九マイルは遠すぎる」風の安楽椅子探偵ものだが、これまた奇想っぷりが楽しくて一気読みした。でも事件の真相部分というか、当事者側の物語は後半にまとめた方が良かったような気がする。二つの作品に共通するネタもあって面白かった。