竹本健治『ウロボロスの純正音律』
- 作者: 竹本健治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/22
- メディア: 単行本
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「ウロボロス」シリーズの第三作だが、『偽書』『基礎論』が未読でも楽しめる。1999年に実際に発表された竹本健治の囲碁マンガ『入神』の製作過程で起こった事件という設定で、どこまでが真実でどこからがフィクションなのかが分からないメタ構造(あるいは内輪受け)が楽しめる。大長編なのに一気読みできたのも、登場人物たちの会話が想像しやすく、業界の裏話的な部分が面白いからだろう。事件の真相には呆れてしまうが、全体構造の緩さがそれをも認める環境になっている。登場人物のある人(作家ではないが、私が面識ある人)がクライマックスで京極堂ばりの大活躍をするので笑ってしまった。いや、羨ましいのですが。