古川日出男『僕たちは歩かない』

僕たちは歩かない

僕たちは歩かない

古川日出男の新作は、中篇というよりは「長めの短篇」と呼ぶべきファンタジー。1日は24時間なのに、ある手段で「1日26時間」の世界に入り込んでしまった人々の話だ。独特の世界観であり、短いながらもよく分からない話ではあるが、クライマックスはちょっと感動してしまった。文章のリズムが最高によく、イラストとの絡み方も絶妙だ。この手の作品でも全く手を抜かないのが古川作品の真骨頂だと思う。