森見登美彦『きつねのはなし』

きつねのはなし

きつねのはなし

夜は短し歩けよ乙女』とは対極にあるような抑えた筆致で淡々と書かれているが、世界観は森見ならではのものだと感じた。古道具屋「芳蓮堂」の人々と、きつねのお面が不思議な怪異をもたらす表題作他4編で構成されているが、どれも、舞台が京都だからこそ効果をあげている。大きなインパクトはないが、後からじわじわ効いてくる。森見登美彦は、クセになる。