北山猛邦『少年検閲官』

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)

書物を持つことが禁じられている世界。そこで連続して目撃される首なし死体。犯人は「探偵」と呼ばれる人物らしいのだが……。
トリックを成立させるために世界を構築する。北山猛邦の作風は本作でも存分に活かされていた。書物のない世界だからこそ、このトリックでも許される。普通なら「バカミス」と一笑に付されるだけのものだが、説得力は今まで以上にある。動機もなるほどと思えるもので、過去作品と比較しても上手く落としていると思う。世界観・トリック・動機が有機的に結びついた力作と言えるだろう。