貫井徳郎『ミハスの落日』

ミハスの落日

ミハスの落日

ミハスとはスペインの村の名前。以下、ストックホルム、サンフランシスコ、ジャカルタ、カイロと、全て海外の街を舞台にした短編集。街や登場人物、事件の特徴まで、それぞれの街ならではの雰囲気が出ているし、その土地ならではのトリックもあったりする。海外の事件だから敬遠されがちかも知れないが、リーダビリティーは相変わらず高いので、すぐに作品世界に入れるだろう。そして意外な展開にも驚かされる作品ばかりで、ハイレベルな短編集と言える。「ストックホルムの埋み火」ではラスト2行で、マニアならちょっとニヤリとする趣向が待ち受けていたりもする。