船戸与一『満州国演義2 事変の夜』
- 作者: 船戸与一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/04/01
- メディア: 単行本
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敷島四兄弟のうち、太郎は二人目の子供が産まれ、次郎は仲間を失って孤独な存在になり、四郎は上海である仕事をするよう仕向けられる。中でも、兄弟の絆よりも個人の立場・信念を優先する、三郎が太郎に発したこの台詞が印象的だったので引用したい。
「今夜のところはこれぐらいにしておきましょう。しかし、敷島参事官、わたくし憲兵中尉・敷島三郎は兄弟という血の絆よりも大日本帝国臣民としての責務を選びます。そのことをお忘れなく。奉天や栄口などは完全制圧したが、長春じゃまだ戦闘がつづいてる。わたくしは明朝長春に向かいますが、さっきの言葉はお忘れなきよう」
(226ページ 第四章・九月の爆裂より)
さて、第三部はいつ出るのだろうか。今から待ち遠しくて仕方がない。