貫井徳郎『夜想』

夜想

夜想

愛する妻子を事故で失った男は、自分のために泣いてくれた女性に出会う。彼女は他人の持ち物から、その人物の思いを知ることができる能力を持っていたのだ。男は彼女の能力を多くの人に知ってもらい、悩みを解決してもらおうとするが、周囲が新興宗教ぽい盛り上がりを見せていくことに不安を覚える……人は絶望を経験したとき、どうすれば救われるのか。宗教にすがればいいのか、それとも……。
重いテーマでぐいぐい読ませていくが、のめり込んでいるとラストで足元を掬われる驚きが待ち受けているので注意されたし。ミステリとしてもよく出来ているが、文学作品として高く評価されるべきだろう。