吾妻ひでお『逃亡日記』

逃亡日記

逃亡日記

失踪日記』で日本漫画家協会賞大賞、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞星雲賞ドキュメント部門と次々に賞を取った著者のインタビュー集。失踪・ホームレス時代の話、漫画家としての生い立ち、受賞時の話など、どこも興味深い話が満載だが、本人によると「いろいろやむをえないしがらみ」で出た便乗本らしい。だからかどうか、やっぱり冒頭の書き下ろしマンガ「受賞する私」が一番面白かったりする。
一番唸った部分を引用。

失踪日記』は書評はいっぱい出たけど、たかが二十万部でしょ? で、『デス・ノート』は千五百万部とか聞くと「アレって?」(笑)。

もうひとつ、一番笑った部分。

――今思うと、昔のことで少し後悔していることってなにかありますか?
ファンの女の子に手を出さなかったことかな。
――いきなり、そっちですか。
だってね。オレはまったく女性ファンにはなにもしなかったんだよ。二人っきりで会ったこともない。それなのにファン同士で勝手にくっついたり、別れたり……。オレを飛び越えて好き勝手やってるんだから。まったくオレをなんだと思ってるんだと(笑)。
――お前ら、好きとかなんとか言うのは、オレを通してからにしろってことですか。
「あいさつがねえなー」ってことかな(笑)。