伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/11/29
- メディア: ハードカバー
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これは傑作だ。素晴らしい。
プロットは巧いし、ラストに向けてどんどん回収されていく伏線も絶妙。会話文の捻り具合も最高。随所に伊坂らしさを感じさせ、読者を堪能させる作品である。
また「同じ字数」になる会話が随所に出てきて、その遊び心にも感心した。
印象的な文章を引用する。
「人間にとって、最大の武器は何だか分かる?」
その相手の言葉に青柳雅春は咄嗟に、「習慣と信頼だ」という台詞を思い出す。森田森吾が自分に発した、苦しさのまざった、はっきりとした言葉だ。
「思い切りだよ」当然ながら三浦の答えは、森田森吾とは異なっていた。
(371ページ)
「ビートルズは最後の最後まで、傑作を作って、解散したんですよ」学生時代のファストフード店で、カズが熱弁をふるっていた。
「仲が悪かったくせにな」と森田森吾が言った。
「曲を必至に繋いで、メドレーに仕上げたポールは何を考えていたんだろ」こう言ったのは誰だったか、思い出せない。「きっと、ばらばらだったみんなを、もう一度繋ぎ合わせたかったんだ」
(432〜433ページ)
これは、直木賞はどうか分からないが、なにかの賞を取るだろう。