久保寺健彦『みなさん、さようなら』

みなさん、さようなら

みなさん、さようなら

小学校の卒業式で起こった事件をきっかけに、団地から一歩も出られなくなってしまった悟。全て団地の中で友情、恋愛、別れ、仕事を経験して大人になっていく。だが、全員が団地の住人だった同窓生は、年々団地から少しずつ去っていった……。
ブラック・ジャック・キッド』と同じく、昔を思い起こさせる郷愁小説。些細ながら印象的なエピソードが積み重なって、青春小説として素晴らしい完成度に仕上がっている。絶対に団地から出られない悟が団地から外に出る時は来るのか? ラストまで読んだ後、その余韻にしばらく耽ってしまう。