道尾秀介『ラットマン』
- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/01/22
- メディア: 単行本
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これは傑作だった。道尾秀介の最高傑作だと断言したい。
ミステリとしても優れているが、それ以前に「青春の終わり」の小説として実に優れている。何かを失い、何かから離れて人は「真の大人」になるという事実を、作者は読者に訴えかける。今の事件と過去の事件の関連性も上手い。自分の30歳前後のことを思い出しながら、主人公に感情移入しまくっていた。これほどロマン性を前面に出してきたのも、本作が成功している要因だろう。
2007年はややトーンダウンした道尾秀介だったが、ここでまた大きく話題になると思う。「ポスト伊坂幸太郎」の位置にまた一歩近づいた気がする。