鷲田小彌太『「夕張問題」』

「夕張問題」 (祥伝社新書)

「夕張問題」 (祥伝社新書)

北海道夕張(夕張郡)在住の哲学者による、財政再建団体に転落した地方自治体・夕張市の現状と今後の可能性を分析した一冊。「炭鉱から観光へ」として炭鉱の倒産・閉山による危機を観光事業で乗り越えようとしながら、行政の失策によって失敗した過程を明らかにしている。
夕張といえば、炭鉱や「ファンタスティック映画祭」も知られていたが、今や「夕張メロン」の町でもある。実は夕張メロンの歴史は意外と短く、まだ50年程度でしかない。ここまで有名になった産業を活かすべき、と著者は主張する。
一部引用しよう。

こういいたいのは、本気かどうか知らないが、こんな記事を目にしたからだ。
夕張市長になり手がいなかったら、出てもいい。再建に秘策がある。民間金融機関から借りている300億円を15年で返済するために、?各種の企業誘致をして人口を増やす。?横浜市くらいの規模の都市と合併させる。?保養・娯楽施設を作って都会の人を呼び込む。?全国から支援を集めるシステムを作る。
こんなことをいっているそうだ(日刊ゲンダイ2/12)。誰かといえば、小泉前首相の秘書官だった飯島勲である。小泉の懐刀だか何だか知らないが、とんだおじゃま虫だ。この程度のことは中田市長が全部やった。そして全部失敗した。つまりは飯島の言は「再チャレンジ」計画ではなくて、「再破綻」計画である。