本田透『なぜケータイ小説は売れるのか』

電波男』の本田透の分析はなかなか面白いが、やっぱり世代が違うので、「異世界の流行」に戸惑っている節がありありと見受けられる。PCでのネットには詳しい著者でも、モバゲーや魔法のiらんどの浸透ぶりは予想外だったらしい。そして最近はPCではなくてケータイでウェブを利用する人が特に20代に多く、「PC離れ」が起きているのも驚きだった。
ケータイ小説の起源はyoshiのはずだが、yoshiとその後のケータイ小説とは明らかに異質のもので、だからケータイ小説の始まりを Chaco『天使がくれたもの』とする考えが多いそうだ。yoshiの小説には「オヤジの説教」があったが、それ以降は「自分語り」が中心なのだ。

などなど、目ウロコな指摘も多い。
最近のケータイ小説は「全く売れない」のも増えてきているが、そこまでの分析はさすがに無理だったか。
出版界に定期的に発生する一過性のブーム(『磯野家の謎』に始まる「謎」本ブーム、ケータイ着メロ本、大人のぬりえなどなど)で終わるだけなのか、これからもずっと根付くのか、もうちょっと様子を見る必要がありそうだ。

*1:テキストサイトを運営していた人が作家になったり、新人賞への投稿がきっかけでデビューしたケースはこの論旨には含まれていない。純粋にネットで創作を発表してそれが評価されて作家になった人はほとんどいなかった、という意味。