田中達治『どすこい出版流通』

どすこい 出版流通

どすこい 出版流通

筑摩書房の書店向けの営業DMに書かれていた業界コラムの集大成。著者は昨年、亡くなっている。
なぜ「どすこい」なのかというと、DMのタイトルが「蔵前新刊どすこい」だから。筑摩書房が、かつて国技館のあった蔵前にあるところからのネーミングだ。同様に、FAX通信として「蔵前どすこい通信」「蔵前文庫どすこい」がある。
著者が連載していた1999年から2006年は、ネットを通じての発注・情報開示が始まり、返品作業を協業化した新会社「出版共同流通」によって返品が無伝票化し、また自由価格本の流通も始まった時期。大きく変化するシステムを推進しながら、見つめ続けていたのだ。いろいろ勉強にもなるし、すでに版元DMに書くようなレベルを超えていた。