湊かなえ『告白』

告白

告白

傑作の登場だ。
終業式における女性教師の「告白」から始まる物語は、プールでの幼女(女性教師の愛娘)の死亡事故を巡って、関係者の視点が変わっていく形で進む。哀しみと怒りに燃えた教師の復讐を描いた第一章からしてすごい筆力で、第二章以降も含め、異様な空間を描ききっている。その後の展開も衝撃的だし、さらに一切救いのないラストは、空恐ろしささえ覚える。一点だけ欠点を挙げるなら、登場人物たちの思考回路があまりにも短絡的なところか。いずれにしても、「新人離れ」という言葉がぴったりの新人作家の誕生だ。
読んで損はない。騙されたと思って読んでみて欲しい。