廣瀬陽子『コーカサス 国際関係の十字路』
- 作者: 廣瀬陽子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/07/17
- メディア: 新書
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とにかく「なんでグルジアであんなに揉めているのか」が知りたくて、この本が実にタイムリーなタイミングで出ていた(7月の新刊)ので買ったのだが、結論から言えば、「これを読んだくらいではさっぱり判らない」であった。問題が多すぎるのだ。
グルジア問題のベースにあるのは、ロシアの影響下から離れたくてNATO入りを画策しているグルジアと、まだ手元に置きたいロシアの思惑の違い、なのだが、そこに民族問題が各地で勃発しており、特に「南オセチア共和国」の問題が表面化していて、ロシアが絡んできているらしい(「北オセチア」がロシア領のため)。
チェチェンについての記事もあるが、こんなのを読むと、辛い気持ちになる。以下引用。
チェチェンの自爆テロ事件の特徴として、実行犯が女性であることが多い。夫や子供を殺害されたチェチェン人の妻や母が、激しい復讐心と愛する人を失った絶望感のなかで、報復のためにテロに関与する傾向が強く見られるからである。「黒い未亡人」という夫を失った妻のテロ組織も存在するというが、自主的に、というよりは、グループの実態を知らぬままに仲間となり、テロに関与させられるケースが多いようだ。
(91〜92ページ)