竹内正浩『地図もウソをつく』

地図もウソをつく (文春新書)

地図もウソをつく (文春新書)

昔から地図や地図帳ばかり見ていた「地図オタク」として必読の本だった。地図について意外な事実を知ることができた。
最初から「国土地理院の地形図は北と南で大きさが違う」という目ウロコ情報が。理由を読めばなるほど納得。「時刻表の地図では離れて書かれているが、実はほとんど併走しているJR東北本線『塩釜−松島』間とJR仙石線」にも驚いた。これにも明確な理由がある。仙石線は駅の数が多いので、全部を表記するために地図上は迂回せざるを得なかったのだ。


実は地図は「軍事情報」の一種である。かつてシーボルトが地図を持ち帰ろうとして大事件にまでなったことは有名だが、地図は重要な機密事項なのだ。韓国では今でも持ち出し禁止になるらしい。
もっとも、今やGoogle Earthで全部筒抜けなのだが。
戦争中の地図などは、皇室用地や浄水場など、軍事上伏せたい場所が改ざんされている。東京は公園だらけの「ガーデンシティ」に見えるのだ。


さらに驚いたのが、西暦2000年を境に「日付変更線」が変わっていること。知ってた?
太平洋上の日付変更線は、昔からも「経度180度」の線からちょっとはみ出ていた場所があったが、今はもっと入り組んでいる。キリバスという国が、日付変更線を変えてしまったのだ。理由はただひとつ、「西暦2000年の正月に、『世界で最初にミレニアムを迎える国』になりたかったから」、それだけなのだ。観光客誘致のために他ならない。
しかも実際は、さほど効果がなかったらしい。