トム・ロブ・スミス『チャイルド44』
- 作者: トム・ロブスミス,Tom Rob Smith,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/08/28
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様々な要素が組み合わさっているが、最初から最後まで一気に読める。主人公のレオや妻ライーサはもちろんだが、どんな端役までもそれぞれドラマを描ききっている点も素晴らしい。そして「ソ連での連続殺人」という特異性。真犯人は中盤で明かされるが、それでも最後には驚きが待ち受けている。動機も異様だ。
この事件の異常性は、以下の文章に集約されている。
われわれの法のシステムはむしろこの殺人鬼が好きなだけ殺すのを手伝ってる。だから、こいつはまたやるでしょう、何度も何度も。その間、われわれは見当はずれの人間を逮捕しつづけるんです。無実の人々を。われわれの嫌いな人々を。社会的に受け容れられない人々を。殺人鬼がそのそばで次々と殺しつづけてるというのに。
(下巻62ページ)