安福良直『世界最大の虫食い算』

世界最大の虫食い算 (文春新書)

世界最大の虫食い算 (文春新書)

著者は「数独」で世界的に知られるパズル雑誌「ニコリ」の現編集長。
虫食い算の本に出会って虫食い算の魅力に取り付かれた著者は、1984年に無謀なことを思いつく。
「1984個の□でできた虫食い算を作ろう」
それを作ってしまった著者は、やがてすごい発見をする。
「1÷9999999995」という、巨大虫食い算作成に便利な法則性のある計算式にたどり着くのだ。

 いったいこの割り算は、いつから神様だったのだろうか? 人類が数字を発明し、少数や割り算というものが生まれたときには、1÷9999999995という割り算も存在したはずである。そのときから神様だったのか? それは違うだろう。では、虫食い算という遊びが生まれたときからか? それも違うような気もする。
 やはり、私が「巨大虫食い算の世界」というところに入り込んだ瞬間に、神様になっていたのだろう。
(169ページより)

こうして1987年、ついに答えが20410ケタという、世界最大の虫食い算を作ることに成功したのだ。もちろん、数字は一つもない「完全虫食い算」だ。
これを当時まだ一読者に過ぎなかった「ニコリ」に送ったが、もちろん載るはずもなく(そもそも掲載できない)ネタにされただけだった。二十年越しに、その作成過程を書き記したのが本書だ。
しかもこの虫食い算、なんと一度も全部を広げたことがなかったそうで、本書の帯撮影用に初めて全部広げたのだそうだ。デカイ!
数学の奥深さが分かる好著。お薦めしときます。