伊藤惇夫『民主党』

民主党―野望と野合のメカニズム (新潮新書)

民主党―野望と野合のメカニズム (新潮新書)

民主党の歴史を90ページでまとめた前半が素晴らしい。
とりわけ、小沢一郎の政治巧者ぶりが浮き彫りにされていて、非常に興味深い。

小沢が新進党を解党しなければ、「新党友愛」や「国民の声」は結成されず、であれば、新民主党の誕生ねなかったはず。またしても小沢の「破壊」が「創造」に繋がっていくことになる。(49ページ)
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その直前まで小沢を「悪魔」と罵っていた官房長官野中広務に土下座された小沢は、「政策を実現するため」という大義名分を受けて、崩壊寸前の小渕政権救出に乗り出す。何のことはない。この時点での小沢は、自民党の救世主だったのである。(61ページ)

そういえばあれだけ政界を揺るがした「年金未納問題」も、今となっては社会保険庁が杜撰だったことの方が問題だったんだよなあ、と本書を読んでいて思った。
それともうひとつ、民主党の体質が分かる部分。

小泉という不世出の名優による、これだけ見事なパフォーマンスを展開されれば、岡田以外の誰が代表でも、おそらく民主党は惨敗したに違いない。党内から慰留の声が上がっても不思議はないはずだが、この時、誰一人として岡田を擁護するものはいなかった。このあたりに、民主党という政党の体質をかいま見ることができるかもしれない。(93ページ)

ちなみに、民主党の本部は自社ビルではなく、間借りなのだそうだ。