水生大海『少女たちの羅針盤』

私も原書房さんからいただきました。ありがとうございました。

少女たちの羅針盤

少女たちの羅針盤

島田荘司選・第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作。
ハイレベルな争いだったそうで、「最終候補作は全て出版できるレベルだった」と島田さんも言われていた。
正賞受賞作の『玻璃の家』とは全く違った雰囲気の青春本格ミステリ


4年前の女子高生劇団「羅針盤」を舞台にした青春小説とそこで起きる事件、現代の復讐ドラマ、二つの話をカットバックで描いていて、どちらも面白かった。意外な真相には素直に驚いたし、伏線の回収が実に巧くて、パズルのピースが一つ一つピッタリはまっていくようだった。謎が解かれることがこんなに気持ちいいとは。青春小説パートも良かった。
ただし、ラスト7ページは微妙。
これ、もしかしてこんなことになるのでは、と途中で思ったような展開になってしまった。このラストを良しとするか駄目だと思うかで、評価が分かれると思う。私は正直言って、苦手な方だ。それまでが本当に素晴らしかっただけに、惜しいとしか言いようがない。
もちろん、読んで損はない。上に書いたように評価点も多い作品だ。


この微妙な感じは、喋った方が伝わりやすいと思ったので、ポッドキャストをアップした。
http://masamuneq.seesaa.net/article/123292994.html