上杉那郎『おもひで屋』

おもひで屋

おもひで屋

角川春樹事務所の営業さんからいただきました。ありがとうございます!
甲子園出場の夢を絶たれた素晴(すばる)は、父の記憶がない。さらに母は素晴が産まれた時から植物状態で、一言も口を利かないまま19年後の今、息を引き取った。そんな素晴の元に「思い出チケット」が届く。そのチケットを手に、19年前にタイムスリップした素晴。彼の前に現れたのは、若い頃のじっちゃん、甲子園を目指している父親、そして、素晴を既に身ごもっているマネージャーの母親だった……。

「そう、イチローのレーザービームのようにね」
「さくらと一郎?」
 知らないのはお互いさまだった。
(152ページ「二日目」より)

過去の母親が「バック・トゥ・ザ・フューチャー」をよく引き合いに出す通り、両親の運命に立ち会う息子という、ありがちな設定のタイムスリップもの。都合よく進みすぎかなあと思っていたが、そういうラストを持ってくるとは。荒削りだが今後は期待できそう。