藤谷治『船に乗れ! 1 合奏と協奏』

船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

高校の音楽コースに進んだ津島(チェロ担当)の青春小説。むず痒いような恋愛要素もあって、青春小説としてはなかなか楽しい。
が、音楽の描写が個人的にはもうひとつな気がする。少なくとも私には、読みながら音楽は響いてこなかった。
この年の学生オーケストラの課題曲は「白鳥の湖」だが、それよりもメインで登場するのがメンデルスゾーンのピアノトリオ第一番。私がこの曲を知らなかったりするので、イマイチに思うだけなのかも。
手元に2巻もあるので、それも読んでみる。


『船に乗れ!』1巻に登場する楽曲メモ。会話の中で触れられる曲まで含んでいる。

シューベルト「ロザムンデ」
チャイコフスキー白鳥の湖」より「情景」「ワルツ」「チャルダッシュ
バッハ「無伴奏チェロ組曲
ベートーヴェン「ヴァイオリンソナタ『春』」
バッハ「ゴールドベルク変奏曲
フォーレ「レクイエム」
リスト「交響詩『プレリュード』」
メンデルスゾーン「ピアノトリオ第1番」
カザルス編曲「鳥の歌」
ハイドン「オラトリオ『天地創造』」
ヴィヴァルディ「忠実な羊飼い」
ウェーバー「舞踏への招待」
シューベルト「ヴァイオリンソナタ
バッハ「クリスマス用コラールBWV605」「年末と新年用コラールBWV615」

この中から一曲紹介するなら、「鳥の歌」かな。
作中では津島が南枝里子に聴かせるためにLPレコードからカセットテープに録音するはずが、デッキの調子が悪くて、結局彼女の家にLPを持ち込んで聴くことになる曲。物語中でも重要なアイテムだ。作中に登場するのは1961年にホワイトハウス、J.F.ケネディ大統領の前で演奏したライヴ盤だが、さすがにYouTubeでは見つからなかったので、1956年にプエルトリコで演奏したもの。