わたなべぽん『桃色書店へようこそ』『桃色書店へようこそ フィニッシュ』

桃色書店へようこそ(MF文庫ダ・ヴィンチ)

桃色書店へようこそ(MF文庫ダ・ヴィンチ)

普通の古本屋が、社長の意向で突然アダルト専門の古本屋になり、女性の著者にその店長を任される……。女性店長が目撃した、エロを求めるお客さんたちの様々なエピソード集。今流行のコミックエッセイ。
一応は書店なので、頷ける部分も多い(万引き客の傾向など)が、そっち方面の話の方が圧倒的に面白く、興味深い。お客さんの雰囲気で買う傾向が決まっていたり、AVを買って帰るだけで「浮気」だと激怒する奥さん、さらには店内で終始イチモツを「丸出し」している紳士など。
「フィニッシュ」では、さらに奥深いネタが増える。ゲイ向けコーナーを作ったはいいが、その隣のコーナーの商品が売れなくなる、とか(自分もゲイだと思われたくない客が逃げるため)。POPはお客さん目線で書かれたものが効果的、という話も参考になる(もっとも、そのPOPは「素人ナンパものAV」だったりするが)。
「フィニッシュ」の目玉は、著者の書店がAVの撮影現場になった、というエピソード。まる一日かけて撮影され、著者やバイトたちもエキストラで出演したそうだ。1ヶ月後、そのAVが発売され、たくさん仕入れて「当店で撮ったAVです」と大きく売り出したが、全く売れなかった。「現実的すぎてエロい気分になれない」そうだ。うーむ、奥深い。